10月上旬、長野市芸術館にて本選会が行われました。私の教室からは4年生が一人予選を突破。予選から2ヶ月、本選準備をし、臨みました。本選曲はモーツァルトのK.545(通称、初心者のための小さなソナタ)の1楽章、またはベートーベンのソナチネヘ長調全楽章の選択でした。ここは無理をせず、完成度を高めた方が良策と思い難易度の低い方、ベートーベンを選択。
予選を通過した時点で入選です。受付で楯をいただいていました。
緊張の中、今までで一番と言える会心の演奏を披露してくれました。本人は人事は尽くしたでしょう!結果は天命に任せましたが・・更なる受賞とはなりませんでした。悔し泣きをしていた生徒さん。結果がついてこなかった時、私も自分の力不足が情けなく、こんな悔しい思いをさせて申し訳ないと毎回思うのです。本当にごめんなさい。
でも、ここまで進めたこと、本番で会心の演奏ができたことは胸を張っていいと思います。コンクールは競い合いだから、激しい努力と忍耐が必要でしょう。でも私はスパルタで追い込むタイプの指導者ではありません。曲の解釈指導、技術指導はもちろん手助けしますが、形ができたあとは、本人の審美眼や意思に任せ「自分が弾きたいというように弾けばいい」と思っています。それでここまで頑張れるということは本当に心が強いのだと思います。
さて、私は他の参加者の演奏も本当に楽しく拝聴してきました。(コンクールで楽しく観覧は不純かもしれませんが。)沢山の個性的な子の演奏に魅了されました。上手いところと下手なところの落差が激しい子(うまくいかない時の心の声、うわああ!!が聞こえてきた)スタッカート表記を全く無視し、自分の世界を貫徹した子、美しい演奏をしていたのにミスをきっかけに歯車が合わなくなってしまった子(でも客席に戻ってきた時、元気そうでよかった)本当に不純ですが、こういう何かしらのキャラクターの煌めきがある子の方が魅力的だから不思議です。まぁ、あの場で意図してやらかす勇気のある子なんているわけないので、演奏者の内面が感じられた時、共感するってことかな・・。そしてもちろん、私の生徒さんの演奏が一番好きです。
芸術館のロビーにはストリートピアノがありました。これは本番が終わって生徒さん、楽しんで弾いている画像です。このピアノは2019年のあの台風被害で水没したピアノだそうです。そんな苦難にあったピアノながら、多くの人に触れられ、愛すべき音を奏でていましたよ。やはり楽器は触れられ、喜ぶのでしょうね。